主な活用方法
近年、離婚が増加傾向にあり、子連れの再婚や高齢者同士の再婚など、再婚にも様々なケースがあります。
相続する資産について、相手方親族に渡ってしまうことから反対を受けてトラブルに成るケースがあり、これらの問題を解決する手段として再婚支援型民事信託があります。
・Aさん(63歳)は妻に先立たれ、自宅の土地建物及びある程度の預貯金もある。
・Bさん(59歳)も夫に先立たれた。資産はない。
・AさんとBさんは共に再婚を望んでいる。
・Aさんに長男Cさんがいるが、再婚によってBさんの親族にAさんの財産が行くことを危惧している。
・Aさんは自分の死後は再婚相手のBさんに引き続き自宅に住んでもらいたいが、Bさん死亡後は長男Cさんに自宅を相続させたいと考えている。
(1)遺言で自宅を長男Cさんに相続させると遺す。
(問題点)
自宅の所有権が完全に長男Cさんに移ってしまい、Bさんはいつ出て行けと言われるかわかりません。
長男Cさんが先に死ぬこともあり、更に先の長男Cさんの親族に行く可能性もあります。
(2)遺言で自宅を妻Bさんに相続させると遺す
(問題点)
妻Bさんにいくと、次に妻Bさんが亡くなった時に相続人はその長女Dさんと次女Eさんであるため、そちらへいくこととなります。
また、妻Bさんと長男Cさんが養子縁組する方法もあるが、心理的抵抗があるのと、Bさん死亡後、相続手続きでは、いずれにせよCDEで遺産分割協議の必要があり、トラブルになる可能性があります。
民事信託を利用すると、Aさんが亡くなったあと、Bさん生存中は自宅にBさんに住んでもらい、お金もBさんのために使う事ができ、Bさんも亡くなったあとはCさんにその財産を戻すことができます。
具体的にはAさんを「委託者 兼 受益者」とし、受託者を長男Cさん、再婚相手Bさんを「第二受益者」、長男Cさんがさんを「第三受益者」として自宅及び当面の預金を信託財産とした民事信託契約を締結します。
民事信託契約のポイント!
・Aさんを「委託者 兼 受託者」、Bさんを「第二受益者」、Cさんを「第三受益者」とする。
・長男Cさんを「受託者」とする。
・「受益者」と「受託者」の合意で信託契約を解約することができるとする。
同一人物の場合も同じ。
民事信託を利用する場合のメリット・注意点
- 当初受益者であるAさんが亡くなったときには、第二受益者であるBさんが、自宅に住む権利や生活費の権利を取得できるため引き続き安心して自宅に住むことができます。
- 第二受益者であるBさんが亡くなった場合、第三受益者であるCさんに受益権が移るため、長女Dさん次女Eさんへ自宅が行くことはありません。
- 仮にAさん、Bさんが認知症になったとしても、自宅はCさんが管理する事ができ、売却することもできます。